原款亮の屋久杉木工品

1点1点の表情の違いを楽しむ

屋久杉と向き合い温もりを見出す原款亮の木工品

鹿児島市の春山町に工房を構える原工芸は、屋久杉を使った工芸品の草分け的存在です。
今でこそ鹿児島では特産伝統工芸のように扱われる屋久杉も、従来は挽き物の材料としては加工のしにくいものとしてあまり積極的に扱われなかったそうです。 そこに価値を見出したのが初代・原款亮(はら かんりょう)である原秋夫さんです。1960年に工房を構えました。

現在は、2代・原匠さん、その息子である3代目・原正樹さんが原款亮の屋久杉工芸を現在に伝えています。

取材記

原工芸を訪ねて

原工芸の工房には、原親子によって手掛けられた屋久杉木工品が並んでいました。 以前は、仕入れてきた大きな屋久杉を削りだして造る壺などの注文が多かったそうですが、生活様式の変化、特に従来の和室の減少に伴い、最近ではそう多くないとのこと。 しかし、屋久杉の年輪が魅せる木工の美しさには、根強いファンが今でも多く、原工芸に取材したこの日も、大きな壺を造るための原木がドンと鎮座していました。

2代原款亮・原匠さんは、屋久杉工芸を通じて多くの賞を受賞していますが、中でもすごいのが、2004年に授与した黄綬褒章です。 紫綬褒章はニュースで聞いたことがある人も多いと思います。 芸能・芸術・スポーツでの輝かしい功績をおさめた人に授与されるものですが、黄綬褒章は『業務に精励し衆民の模範たるべき者』に授与されるもので、その分野における技術のスペシャリストに贈られるものです。 まさに名前の通りの〈匠〉なのです。工房には実際に授与された黄綬褒章と、表彰された時の写真が飾られていました。 また、卓越技能章(いわゆる〈現代の名工〉です)も受章されています。

器は手造り、といってもすべてを手作業でするわけではなく、機械を使って形を整えていきます。 しかし、この機械の微妙な調整は手でコントロールするもので、ここに高いレベルが要求されます。

そして削るための刃に驚きました。何本もあるのです。しかも、この刃は既製品でなく、すべて自分たちで造ったというのです。 「自分たちが造りやすいように、道具も自分たちで用意し、調整する」と原匠さんは言います。

最後に、原正樹さんに実際に目の前でぐい呑みをひとつ削り出して頂きました。

屋久杉木工の器は、熱伝導率が低いのが特徴で、外側が熱くならないので、温かい飲み物を注いだ時は冷めにくく、冷たい飲み物を注いだ時は冷たさをキープしてくれます。

また、当然といえば当然ですが、器は1点ものであり、年輪が魅せる紋様はひとつひとつバラバラです。 素材の屋久杉には年齢の若いもの、年齢の経ったものがあり、それを〈安い木〉〈高い木〉と呼びます。 やはり、年齢を重ねた高い木を素材に使った木工品のほうが値が高くなります。

プロフィール

原款亮・原工芸

鹿児島市春山町1240-1

  • 1987年 … 鹿児島市工芸展技術賞受賞
  • 1995年 … 鹿児島県屋久杉フェスタ鹿児島県議会議長賞受賞
  • 1996年 … 鹿児島県屋久杉フェスタ鹿児島県知事賞受賞
  • 1996年 … 鹿児島市工芸展優秀賞受賞
  • 1997年 … 鹿児島県屋久杉フェスタ熊本営林局長賞受賞
  • 1997年 … 全国伝統的工芸品コンクール入選 伝統的工芸品の推奨を受ける
  • 1998年 … 第八回伝統工芸木竹展入選
  • 1998年 … 優秀技能者として鹿児島県県知事表彰を受ける
  • 2000年 … 卓越技能章(現代の名工)受章 労働大臣表章
  • 2004年 … 黄綬褒章受章